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食育について考える (No.28) 2006年

  平成17年6月10日「法律」として食育基本法ができた。「食育」に先進的といわれるアメリカ・イタリア等では推進運動は行われているものの法律としては定めておらず、「食育基本法」の制定は世界初となる。即ち、食育を国民運動として展開していこうという機運が高まっている故だと思われる。

 

法律制定の背景

食育について考える  戦後の日本人の平均寿命や体位の向上には、食生活が大きな役割を果たしてきたと思う。米・魚・野菜・豆製品を中心とする伝統的な食生活に、食肉や油分、牛乳、乳製品といった西洋風の食事が上手く取り入れられた結果、たんぱく質・脂質・炭水化物等のバランスに優れた和洋折衷型の食生活が出来上がった。

  これは「日本型食生活」とも呼ばれ世界的にも注目を集めた。1980年代半ばには、食の西洋化という大きな流れの中で、日本型食生活として実現した日本独自の食のタイプをきちんと守っていこうという動きもあった。しかしそれから20年が経ち日本型食生活は乱れて来て栄養バランスが崩れ脂質過多型になりつつあり、偏食や欠食が広がりその結果、生活習慣病や肥満・痩せと言った健康面の問題が表面化して来た。一方、消費者の食の安全や安心に対する関心が高まって来ており、食品表示の徹底も叫ばれている。更に食生活を巡る問題の要因として、食べ物を作る側と消費する側の距離が離れて来たことが挙げられる。また、食に関する知恵や技を、世代を超えて伝承することが難しくなっていることも挙げられる。以上のように、現在食育の必要性が指摘されている背景には食を巡るこれら諸問題がある。

  食育基本法では食を通じて生きる力を育むことを目指し国を挙げて様々な取り組みがなされている。 

 

幼稚園・保育園での食育

  幼稚園・保育園での取り組みの特徴としてこの年代は心身の成長の最も顕著な時期で、食習慣の基礎が確立される時期で「食育」上、最も重要な時期である。この時期に食べ物に対する関心を持たせ、正常な味覚を育むようにし、十分な遊びを通して空腹感と食欲を感じ、食事が楽しく、食事が待ち遠しい生活を送れるようにする。

  嫌いなものを無理に食べさせるのではなく、好きなものを増やすことによって、新しい食べ物に興味や関心を持ち、慣れないものや嫌いなものに挑戦できるようにすることでもある。食事をみなで準備し、一緒に食べ、皆で楽しめるようにして、人に対する愛情や信頼感が育つようにして人間関係を築く時期とも言える。

  食事を作ることと、食事の場を準備することを結びつけることで、食べることは生きる喜びにつながり子ども自身が食べる行為を本当に楽しく待ち望むものであるような体験を積むことも大切な事である。
食べる行為が食材の栽培といのちを育む営みとつながっていると感じられる体験をし、食べ物を媒体として人と話すことが出来る環境をできるだけ多く作り自分の作ったものを味わい、生きる喜びにつなげる、即ち「食を営む力」のある子ども育成の基礎を培う機会でもある。

 

当園で考えている食育

  当園ではご家庭の協力もお願いしながら、ご家族の皆様と一体となっての食育を推進して行きたいと考えている。しかも、それを無意識の内に自然に身に着くようにして行きたい。即ち、幼稚園においては園児と教職員の皆で、ご家庭においては極力ご家族全員で、皆で食事の準備をし、楽しく会食し、後片付けも全員で協力して行うようにするような機会をたくさん設定したいと思う。食卓を囲み「いただきます」のご挨拶から始まり、明るい話題で楽しく食事をし、食物を作って下さった方への感謝の心、食事のマナー等の教えの良い機会でもある。食事は偏らず、残さず食べ、それが終わったなら「ごちそうさま」で終わる。

  就寝は夜8時、起床6時、そのあと家族と一緒に朝食を摂り、排便を済ませてから登園、元気に友達と遊び、皆と一緒に昼食、降園となる。このようにきちんとしたリズムが常に保たれれば心身の発達も充実し、生きる力も身に付いて来る。早寝・早起き、お日様にあたっての運動は子どもの脳の発達を大きく促すと云われている。

  つまり、人間としての生活習慣、生活リズムを作り出す根本は食事が中心と言われているように、一日三度の食事から生活リズムがきまり、精神的な安定が生まれ気力・意欲を醸し出し生きるバイオリズムが出来て来る。園としては昼食の給食のみを担っているが、日々の一コマ一コマの積み上げを通して思いやりや感謝する気持ちを育み、人間教育の基礎づくりを食育を通して行う考えである。更には、徐々にではあるが子供達にも判り易い食材、栄養の知識等知らせて行きたいと考えている。